6月7日、ましこサポーターズクラブ主催イベント第一弾として、益子陶芸美術館にて木村一郎展のギャラリートークを行いました。
今回の参加者は、「美術館に来るのは初めて。」という方たち。
「益子にいるけど、益子のことをよく知らなくて。」
そして、「益子にはよく来るけど、益子のことをもっと知りたくて。」ということで参加してくださったそうです。
まずは、「益子焼」の流れを常設作品から解説。
益子焼と言えば、濱田庄司や加守田章二などの著名な陶芸家が思い浮かびますが、意外に移住してきた作家が多いそうです。
そんな中で、純粋に益子に生まれ育った陶芸家・木村一郎の作品を、「益子のモダニスト」として取り上げた展示になります。
最初の展示作品は、白と黒のコントラストが印象的な大皿。
「展覧会のイメージを象徴するような作品を最初に展示している。」とのことで、モダンな雰囲気が漂っています。
シンプルな中にも、技術的な工夫が凝らされているようで、制作の手順としては黒い釉薬を全体にかけた後、両端を掻き落として白地をみせているそうです。
解説がなければ、ぼんやりと見てしまいそうですが、少し教えてもらっただけで見方が変わってくるので不思議です。
こちらは60年代につくられた絵皿。
重たい色の中にも軽やかな雰囲気があり、時代を感じさせないモダンな印象。
こちらは、今回の展示のチラシやポスターに使われている作品(写真右側)。
ガラス釉の透明感と鮮やかな色彩が涼しげです。
木村は、さまざまな技法を追求した作家でもあり、今回の展示も年代順ではなく技法別に展示しているそうです。
京都でのわずかな修業期間を経て、益子で作陶の追求がされたようですが、この展示を見ると、常に新しいものへ向かう視点が一貫し、時代にとらわれないモダンな精神が伺えます。
辰砂の作品。
辰砂の発色も、木村家の窯のコンディションが影響して落ち着いた色味を出しているそうです。
鮮やかな黄色のスリップウェア。この時代は鉛が含まれているので発色が鮮やかなんだそう。
美術館の展示を見るときの見どころや、作家の背景、作品にまつわるこぼれ話など、解説をまじえて聞くと普段とはまた違った雰囲気で、作品や、木村一郎の人柄についてより深く知れたようでした。